相川 秀希
国際ポートフォリオ協会 理事長
2015年にピカソの「アルジェの女たち」が1億7900万ドル(当時の為替相場で約215億円)で落札されたことが話題になりました。たった一枚の絵画が驚くような金額で取引されているわけですが、芸術作品の値段は、はたしてどのように決まるのでしょうか?
これが例えば、何らかのサービスや製品だったり、不動産だったりすれば、値段が高いか安いかを、一般的な基準に照らして判断することができます。単純な話、この違いは比べるものがあるかないかで決まるように思います。芸術作品は、この世にたったひとつしかないオリジナルで、かつその価値を認める人がいるからこそ値段が決まっていくのです。
では、人の値打ちは何で決まるのでしょうか?
自分という存在は他に代えられない唯一のものです。独自のことをひとりよがりでやっているだけではただの自己満足で終わりですが、それが何か人のためになったとき、価値を生じるものだと思うのです。
つまり、「自分にしかできないことは何か?」「自分だからこそできることは何か?」「それは人の役に立つことか?」この問いかけを持ち続けて行動していけば、人はすぐれた芸術作品同様、他と比べることができない価値高い存在となるはずです。
今、日本の教育は大きな転換点を迎えています。これまでの「偏差値」的なものさしで人を評価していくシステムの限界と弊害は目に見えて明らかになってきました。個々人の資質や可能性に光を当て、日本の唯一の資源といえる「人財」を大切に育てる社会に改革しなければなりません。そのため、一人ひとりの活動や学習の足跡をいきいきと記したポートフォリオは、人の可能性を発見し育むのに重要なツールとなり得ます。
当協会はポートフォリオ教育の推進とポートフォリオシステムの普及・定着を図ることで、児童・生徒・学生はもちろん社会人になっても、生涯を通じて学び続け、自身の価値を高められる環境をつくることを目的に発足しました。今後、ポートフォリオについての研究・情報発信・コンサルティング等の活動を通じ、学校や各種教育機関はもちろん、様々な企業・団体の方々と力を合わせて進めていきたいと願っております。皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。